レインガーデンとは|その基本と必要とされる理由

レインガーデンとは、屋根や地面に降った雨水を集めていったん溜め、ゆっくり地面にしみこませる植栽スペースです。

レインガーデンには、こんな働きがあります。

  1. 心がやすらぐ:
    緑の多い憩いの場になり、ストレスをやわらげる助けになる
  2. 生き物が増える:
    いろいろな植物を植えることで、開発された土地に生き物のすみかができる
  3. 町の暑さを和らげる:
    コンクリートなどがためこんだ熱による気温の上昇を、植物から出ていく水分が和らげる
  4. 水を長く大切に使える:
    雨水を生かして、地下水の高さを保ち、水の恵みを取り戻す
  5. 学びの場になる:
    雨水を大切に扱うことや、自然を守ることについて考えるきっかけになる

雨水をいったん溜めて、その場でしみこませる。自然の水のめぐりを真似ることで、雨水の汚れが土の中でこしとられ、水がきれいになります。下水道や川へ一度に流れこむ水も減るので、洪水をやわらげる助けにもなります。

レインガーデンが必要とされる背景

いま、あなたはどんな場所で暮らしていますか?

家から最寄りの駅や職場、スーパーまでの道のりを思い浮かべてみてください。

そのほとんどが、アスファルトやコンクリートで舗装されているのではないでしょうか。

道路や橋、トンネル、上下水道、港、堤防、ダム。人工の素材でつくられ、毎日の暮らしを心地よく安全に支えているこうしたものを、まとめて『グレーインフラ』と呼びます。

硬い素材で覆われた場所に雨が降ると、水はできるだけ早く排水溝や雨水管に集められ、川や海へ流れていくように設計されています。

ところが気候の変化の影響で、日本では1時間に50mmを超えるような非常に強い雨が増え続けています。これまでのグレーインフラだけでは受けとめきれず、町なかの水害がたびたび起きるようになりました。

水害の被害額は、2018年に約1兆4000億円、2019年に約2兆2000億円と、大きな影響が出る年もあります。

これからも豊かな暮らしを続けていくには、グレーインフラだけでは足りません。自然のさまざまな働きを生かした『グリーンインフラ』を、うまく組み合わせていくことが大切だと考えられています。

生き物が減っていくことも、僕たちが向き合っている大きな課題です。過去に5回あった大量絶滅は自然の変化によるものでしたが、いま進んでいると考えられている大量絶滅は、おもに人間の活動が原因です。

生き物のすむ場所を切り開いたり埋め立てたりする開発。里山が使われなくなって手入れが行き届かないこと。こうしたことで、生き物どうしのつり合いが崩れていくのは想像しやすいと思います。

こうした生き物の危機に応えるためにも、グリーンインフラを生かすことが求められています。

イオンモール常滑のレインガーデン(愛知)

レインガーデンの位置付け

グリーンインフラは、自然や、自然を真似た仕組みを通して、自然のさまざまな働きを生かし、心地よく長く続く暮らしを目指すものです。

緑や水辺を感じられる公園づくりから、田んぼを守ることや森の間伐まで、幅広い取り組みが含まれます。

このグリーンインフラを形づくるもののひとつに、低影響開発(LID:Low Impact Development)という手法があります。

土地を開発するときに、自然の水のめぐりや生き物への影響をできるだけ小さくする開発の仕方です。雨水をなるべくその場で受けとめ、地面の上や下の水の流れを、自然に近い形で真似ることを大切にしています。

LIDを実現する方法には、雨水をしみこませる、溜める、使う、きれいにするといった自然の働きを生かすものがあります。透水性の舗装、屋上緑化、雨水タンクなどいろいろあり、レインガーデンもそのひとつです。

レインガーデンの必要性

南町田グランベリーパークのレインガーデン(東京)

グレーインフラもグリーンインフラも、『インフラ』というだけあって、大きなものを思い浮かべがちです。けれどレインガーデンは、住宅地や公共施設、商業施設、工場、空き地などの小さなスペースにも作れます。比べると簡単で、費用も抑えられるのが大きな特徴です。

個人や地域の単位でも、限られたスペースでふつうの庭と同じように美しさや楽しさを味わいながら、地域の水の管理や生き物を守ることに役立てられる。長く続く暮らしや地域を目指すうえで、魅力のある選択肢のひとつです。

レインガーデンを作るときの流れとルール

ここからは、レインガーデンを作るときの基本の流れとルールを紹介します。

作る目的や好み、予算、技術、敷地の条件に合わせて、柔軟にアレンジしてみてください。

  1. 作る場所を決める
    ・集めた雨水が建物に影響しないよう、建物から3m以上離れた場所に作る
    ・大きな木の下、急な斜面、地下水位が高い場所などは向かない
  2. 溜める雨の量を計算する
    ・敷地内の雨がしみこまない面(屋根やカーポートなど)の面積を計算する
    ・どれくらいの雨水を受けとめたいかを決める
  3. 土の吸水力を測る
    ・作りたい場所の土がどれだけ水を吸えるのか、浸透テストをする
    ・簡単なテストの方法:直径20cm、深さ20cmの穴を掘って水で満たし、1時間で約2.5cm以上の水がしみこめば、レインガーデンに向いていると考えられる
    ・必要なら、できるだけ環境への負担の少ない方法で土を改良し、しみこみやすくする
  4. レインガーデンの大きさを決める
    ・集めたい雨水の量と土の吸水力をもとに、大きさと深さ(目安は15~45cm程度)を決める
  5. 植物を植える
    ・レインガーデンは3つのゾーン(水に浸かることがある底、斜面、水はけの良い上のふち)で環境が違うので、それぞれに合う植物を選ぶ
    ・その土地にもともと生えている植物や、まわりに広がりすぎない植物を選ぶ
  6. お手入れする
    ・植えてから根づくまでの2〜3年ほどは水やりが必要
    ・しっかり根づいたら、水やりはほとんど要らなくなる
    ・排水口が詰まっていないか、ときどき確かめる
    ・雑草は大きくなりすぎないよう、ほどよく手入れする

まとめ

レインガーデンは、庭として安らぎや美しさを感じられるうえに、洪水をやわらげ、水をきれいにし、生き物を守る。いくつもの働きをあわせ持っているのが特徴です。

使い方しだいで、地域の人が水や自然に目を向けるきっかけにも、環境教育の場にもなります。

この記事では、長く続く暮らしの中でのレインガーデンの位置づけと必要性、基本の作り方を紹介しました。

もっとくわしく知りたい方は、下の参考資料のリンクをのぞいてみてください。

これからもこのブログで、一緒に学んでもらえると嬉しいです。

参考資料

・特定非営利活動法人日本ゼリスケープデザイン研究協会
・【導入編】グリーンインフラが必要とされる背景
・グリーンインフラとは 取り入れるメリットや課題、事例を紹介
・MODERN RAINGAEDEN
・グリーンインフラストラクチャー 米国に学ぶ実践
・生物多様性に迫る危機