レインガーデンは広い庭がないと持つことができないのでは、と思われるかもしれません。
しかし、レインガーデンが、『屋根や地面に降った雨水を集めて一時的に溜め、ゆっくり地面に浸透させることができる植栽スペース』であることを踏まえ、それをプランターで再現することで、たとえば玄関やカーポート、デッキまわりなど、お住まいの環境に合わせてレインガーデンを持つことができます。
- 敷地にレインガーデンをつくる場所が無い
- まずは小規模でレインガーデンを試してみたい
- 大きな費用を掛けることが難しい
- 環境に対してなにか行動をはじめたい
- DIYは苦手だけどレインガーデンを自作してみたい
という方はぜひプランターから始めてみるのはいかがでしょうか?
今回ご紹介するようなプランターと庭につくるレインガーデンを組み合わせることで、雨水管理の効果をさらに高めることもできます。
今回はそんな『レインガーデン・プランター』をつくる方法を2つご紹介したいと思います。
例1:とにかく簡単にレインガーデン・プランターをつくる

まず1つ目は “工具を一切使わない” かんたんな方法です。
- 下部のプランターに軽石を敷き詰める
- 上部のプランターに園芸用の培養土を入れる
- 上部のプランターに植物を植えて適宜マルチングをする
これで完成です。

今回の例では、透水性、耐候性のあるジオテキスタイル素材のプランターを重ねて使うことで、レインガーデンの構造を再現しています。
この素材はとても軽いので、お好きな場所に移動させやすいのも大きなメリットです。
また、上部のプランターより下部のプランターが大きめのサイズにすることで、上のプランターから雨水がオーバーフローしても下のプランターで受け止められるようにするのがポイントです。

ベランダや軒先、玄関周り、駐車場など、不透水性の舗装にレインガーデンプランターを置くことだけでも、雨水を保水して、ゆっくりと放出する小さなレインガーデンが出来上がります。
今回使用したのはBACSACというプランターですが、アイディア次第で他の素材や作り方でもレインガーデンプランターを実現することができるので、ぜひお好きなサイズや色、デザインのものでチャレンジしてみてください。
例2:DIYでレインガーデン・プランターをつくる
2−1:レインガーデン・プランターの考え方

2つ目は、建物やカーポートの雨樋から雨水を集めることを想定したレインガーデンプランターです。
このプランターは以下の考えに基づいています。
- 縦樋の近くでプランターを置く場所を決める
- 縦樋をカットして雨水をプランターに流す
- プランターの土で雨水を貯めて植物が利用できるようにする
- 余分な雨水はジオテキスタイル層でろ過して下部のコルゲート管から排水する
- 豪雨などで排水しきれず上部に溜まる水についてはオーバーフロー管から排水させる
2−2:材料の準備
材料は以下のものを用意します。
あくまでも一例なので、設置したい場所の条件や好みに合わせてデザインを工夫してみてください。
もし可能であれば、お住まいの地域産の木材や古材などを積極的に使っていきましょう。
また、それぞれの木材には事前に保護塗料を塗って耐久性を高めましょう。
- A・・・SPF板:厚み38mm・幅140mm・長さ600mm:12本
- B・・・SPF板:厚み38mm・幅140mm・長さ1200mm:12本
- C・・・SPF板:厚み38mm・幅140mm・長さ1162mm:3本
- D・・・SPF板:厚み38mm・幅140mm・長さ562mm:3本
- E・・・角材:厚み100mm・幅100mm・長さ638mm:2本
- F・・・エルボ:直径100mm:2個
- G・・・腐食防止用塗料
- H・・・コルゲート管:直径100mm・長さ1100mm程度:1本
- I・・・防水シート:幅800mm×長さ3500mm程度
- J・・・ジオテキスタイルシート:幅1200mm×長さ600mm程度
- K・・・園芸用培養土:約270リットル
- L・・・砕石:粒の大きさ7〜20mm:約130リットル
- M・・・装飾用砂利:約20リットル
- N・・・侵食防止用の景石:数個
- O・・・縦樋:500mm程度:1本
- P・・・ストレーナー:1つ
2−3:プランターを組み立てる
- A、Bの材料を使って枠を6個つくる・・・①
- C、D、Eの材料を使って土台をつくる・・・②
- ①と②を組み合わせる
- プランターの内側に防水シートを貼る
- プランターに砂利、コルゲート管、縦樋、ストレーナー等を設置する
- ジオテキスタイルシート、培養土を入れる
- 植物を植えて化粧砂利などでマルチングをする
- 侵食防止用に景石などを置く
こちらのプランターは計画段階なので、実際に作成したら追記していきますね。
まとめ
「雨水を集めて一時的に溜め、ゆっくり地面に浸透させる」
これをプランターで実行できると思うと、意外といろいろな場所にレインガーデンを作ることができるように感じませんか?
もちろん小さなプランターでは雨水を蓄えられる量はたかが知れています。
ですが、通常は地面の中にあって目に見えないレインガーデンの構造や、その意義への理解を深めることができるだけでも大きな一歩です。
また、レインガーデン・プランターに植える植物を選ぶときに、「地域に自生している植物ってなんだろう」と調べてみたり、「水やりが少なくて済む乾燥に強い植物ってなんだろう」と調べてみたりすることも、環境へのアクションになります。
環境に対して何をして良いのか分からないと悩んでいる方も、難しく考えず、まずはレインガーデン・プランターで気軽に身近な自然を楽しむことから始めて欲しいと思います。